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高齢者向け共同住宅の、メリットと問題点。
高齢者同士が集まって、共同住宅でお互いの生活を共同化する「グループホーム」「グループリビング」、そして共同台所や食事室などを設け、入居者が交代制で食事の用意などを担当するかたちで生活の一部を共同化する「コレクティブハウジング」といった、高齢者向け共同住宅の形態がいくつかあります。
ちなみに、「グループホーム」は要介護1-5の認定を受けている認知症高齢者に入居が限定され、介護保険の居宅サービスである「認知症対応型共同生活介護」の適用があります。
また「グループホーム」では、「通所介護(デイサービス)」「短期入所生活介護(ショートステイ)」もサービス提供しています。
これに対して「グループリビング」は別名「グループハウス」とも呼ばれ、認知症高齢者だけに限定されることもなく、施設の運営形態も様々となっています。
高齢者同士が共同で暮すことの最大のメリットとしては、高齢者の孤立感・疎外感を防ぎ、家庭的な雰囲気による日常生活やリハビリが可能になることで、生活の質をあげていくことができる点にある、といえるでしょう。
一方で、これまでの高齢者向け共同住宅においては、年金で支払える程度の家賃をベースに建物を設計したり、下宿や量の改築により発足したと言う経緯から、現実には6~8畳一間の物件などもかなり多い状況です。
入居希望者が二間を希望するなど住宅スペースにゆとりを求めてくる事から生じる、ニーズと現実とのずれも大きくなってきました。 このため、より希望条件に適合した施設に入居希望者が集中してしまい、他の物件には人が集まらなくなり入居者の募集に苦労する事態も起きているようです。
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「グループリビング(グループハウス)」とは。
高齢者向け共同住宅の、メリットと問題点。でも簡単に触れましたが、ここではその中核であり今後の発展も期待できる「グループリビング(グループハウス)」について、ご説明します。
「グループリビング」は、比較的元気な高齢者が、調理・そうじ・食事などの行為を共にしながら、仲間とともに一つ屋根の下で自発的に助け合って生活するという、住み方・暮らし方のことです。
そしてそのような住み方・暮らし方をしている人達が暮らす住宅施設が「グループハウス」と呼ばれています。
「グループホーム」はよく似た言葉ですが、こちらは要介護認定を受けている認知症の高齢者が入居する施設(定員9名以下の小規模施設)であり、「認知症対応型共同生活介護」として、介護保険の給付があります。
比較的健康な高齢者が主体の、必ずしも介護を伴わない共同生活である「グループリビング(グループハウス)」と区別されるところです。
厚生労働省が、現在のグループリビング(グループハウス)のような「全く知らない人たちが集まって暮らす生活スタイル」の研究を続けていたことから、介護保険制度の発足時において「高齢者共同生活支援事業」をスタートしました。
しかし助成対象として、「5人から9人」の「おおむね60歳以上の高齢者で、同一家屋内で食事等、お互いに生活を共同化できるもの」と、一定の指定条件を課したことから、その指定条件を満たせぬ施設も多く、傾向としては助成金を受けずに独自に活動するグループリビング(グループハウス)のほうが多いようです。
広めの中古住宅や賃貸アパートなどを改装し、入居者は個室で生活しながら、食堂・ダイニング・風呂などの共同スペースで、生活の一部を共同化します。
共同生活のための比較的ゆるやかなルールをつくり、食事時などを除いて個人で一人一人ができるだけ自立した生活を送るのが、グループリビングのイメージです。
そして医療や介護サービスが必要になった場合は、提携先の病院や居宅介護支援事業所から、自分で医療やサービスを選んで利用します。
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介護保険と「ケア付の高齢者住宅」。
「介護保険制度」は、ご存知のとおり介護保険法によって2000年度から設けられた制度で、介護される人(被介護者)の体の状態に応じ、利用者と居宅介護サービス提供事業者との契約にもとづいて、地域包括支援センターやケアマネージャー(介護支援相談員)のコーディネートにもとづいた介護(介護予防)サービスが受けられる制度です。
介護保険により受けられるサービスは、大きくは、要介護者のための「介護給付」、要支援者のための「予防給付」、そして市町村が指定・監督する「地域支援事業」の三つから成り立ちます。
このうち、「介護給付」として要介護者だけが受けられるのが、在宅で受けられる「居宅(在宅)サービス」と、施設に入所して受ける「施設サービス」、そして市町村が指定・監督しその市町村の居住者だけが受けられる「地域密着型サービス」となります。
要支援者が受けられるサービスは、「介護予防サービス」「地域密着型介護予防サービス」となり、その名のとおり、「介護予防」を目的としたサービスとなります。
要介護者が受けられる「介護給付」に比べ、サービスの名称は似ているものの、支給限度額や内容、利用回数の限定などが少なく軽めになっています(介護保険の予防給付(介護予防サービス)の概要 ご参照)。
市町村や地域包括支援センターに対して申請を行った後の要介護・要支援認定の結果により、地域包括支援センターの保健師等や居宅介護支援事業所のケアマネジャーと共に、サービスの利用計画となる「ケアプラン」を作る必要があります。
その後は支給限度額の範囲内で、利用者が希望するサービスを組み合わせて利用でき、原則として「サービス費用の9割が保険負担、1割が本人負担」となります。
この費用は、被保険者からの徴収分だけでなく、国・都道府県・市町村も負担しているわけです。
「介護保険制度」のスタート以前は、介護の有無や介護が受けられる場合のサービス内容をどうするかの判断・決定を市町村が行っていましたが、同保険の発足後は、受けたい場所やサービスについて、要介護者本人の意見や介護する家族の意見を尊重する仕組みが取り入れられたわけです。
さて介護保険は、介護サービスとそれにかかわる金銭負担の問題にとどまらず、生活の質の中核を占める「住まい」の問題についても、重要な位置を占めます。
介護保険も施行から10年以上過ぎ、高齢者の住宅問題も、当初用意されていた「介護保険が適用される入所施設か、それ以外か」という二択だけでは不十分で、いわばその中間を指向するグレーゾーン的なものも必要ではないか?という指摘が、だんだん行われるようになってきました。
「ケア付の高齢者住宅」 長所と短所(1)。
【平成24年(2012年)3月追記】
2011年(平成23年)10月の高齢者住まい法の改正により、「サービス付き高齢者向け住宅」が創設されました。
「サービス付き高齢者向け住宅」、利用者が知っておきたい概要。
「ケア付の高齢者住宅」という性格を持つひとつの住宅モデルが、高齢者住まい法上「サービス付き高齢者向け住宅」となった、と考えてよいかも知れません。
したがって、以下に述べる「ケア付きの高齢者住宅」が抱える短所、すなわち「要介護度が進んだときの施設側の対応と、利用者本人の心理状態の変化」は、そのまま「サービス付き高齢者向け住宅」の短所ともなり得ると言えそうです。
介護保険、そしてケア付の高齢者住宅について。で記したとおり、地方自治体が保険料の増大による財政圧迫を警戒していることから、本格的な有料老人ホームやグループホームの新たな建設が、全国的に制限される現状が続いています。
そのような背景もあり、比較的自立度の高い高齢者が、必要に応じて訪問介護サービスを選択して受けられるケアハウスや賃貸マンション、いわゆる「ケア付きの高齢者住宅」の新設が、全国的に増えてきています。
「ケア付きの高齢者住宅」は、介護保険施設への入所が長い年月を要する現状に加え、従来の住み慣れた自宅では在宅医療や在宅介護が難しい場合もあるということで、いわば「施設介護に準じた在宅介護サービス」の提供を、プライバシーの尊重や孤立感の防止も重視しながら行える施設として、発展してきています。
このようなケア付高齢者住宅増加の流れは、今後も全国的に進むものとみられていますが、メリットばかりというわけでもない点は注意が必要です。
まず、これらのケア付の高齢者住宅は、基本的には自立した高齢者や要支援・軽度の要介護者を想定していますが、彼らがいずれ重度の要介護度に移行する可能性が、常に高いまま存在していることです。
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「ケア付の高齢者住宅」 長所と短所(2)。
最近では、1階部分に「小規模多機能型居宅介護」の施設、2階部分以上はグループホームや高齢者入居のための賃貸部分を設けるなどした「ケア付の高齢者住宅」が増えてきています。
また高齢者住宅と同一敷地内に、「小規模多機能型居宅介護」の施設を設けるケースもあります。
このように「小規模多機能型居宅介護」をかつての高専賃やグループホームに組み合わせる「ケア付の高齢者住宅」のメリットは、どこにあるのでしょうか。
「小規模多機能型居宅介護」サービスは、2006年4月施行の改正介護保険法において、新たに介護保険のサービスメニューに加わりました。
これは市町村が事業者指定を行い、原則その市町村の住民(被保険者)のみが介護保険の給付対象となる「地域密着型サービス」のひとつとしてスタートしたものです。
「通い」(デイサービス)を中心に据え、ホームヘルパーの「訪問(訪問介護)」と「宿泊(ショートステイ)」を組み合わせながら、要支援・要介護の高齢者が住み慣れた地域で安心して生活できるよう、24時間365日体制で在宅での日常生活を支援するというのがその内容です。
介護保険が利用でき、利用者はサービス費用の1割負担で済むのですが、なんといっても利用者にとっての一番のメリットは、月単位での「定額制」となっているため、サービスを回数・時間帯の制限がなく使える点にあります。
「ケア付の高齢者住宅」、その長所と短所(1)。でも述べたとおり、訪問介護などの「居宅サービス」は、通常1ヶ月くらい前にケアマネジャーにケアプランを作成してもらい、上限となる金額の範囲内で利用せねばならず、しかもサービスの利用日時が固定されています。
それに対して、この「(介護予防)小規模多機能型居宅介護」においては、24時間365日切れ目無く柔軟にサービスを利用できる余地があるわけです。
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「介護老人福祉施設(特養)」 現状と課題。
食事・入浴・排泄などについて常時介護が必要な人向けの施設である「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム、特養)」への入居を希望する場合は、現在は市区町村か施設に直接申し込む形になっています。
(「介護老人福祉施設(特養)」の概要については、介護保険三施設と、高齢者住宅の今後。 をご参照ください。)
入居にあたっては、要介護度の高い人が優先されることになっていますが、全国的に「介護老人福祉施設(特養)」の数が圧倒的に足りない現状にあるため、新たに入居するには要介護度が4か5でないと、実質的には入居が難しい状況です。
介護保険法の改正により、2015年4月からの特養への新規入所は、法律上も原則として「要介護3以上」に限定されました。
ちなみに要介護度が1・2であっても、市町村の関与を条件に入所を認める「特例入所」も、併せて設けられています。
認知症でも身体的に健康なことから要介護度3未満と判定されている方は少なくありませんが、特養への入所にあたって今後は市町村の関わりが強くなることに注意が必要です。
「介護老人福祉施設(特養)」の設置は自治体か社会福祉法人に限られ、その建設費用の多くが補助金でまかなわれています。
その設置数が不足しているのは明らかなのですが、自治体の負担も大きいため、施設数が限られているのが現状です。
このような背景もあって入居待機者数は増える一方となっており、その数は現在の施設入居者数とほぼ同規模程度に達している、というデータもあるようです。
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有料老人ホーム、見学前のポイント(1)。
いまや有料老人ホームは、要介護・要支援者を受け入れる「介護付有料老人ホーム」が、その主流となっています。
介護付有料老人ホームの数も全国で2,000施設を超えており、入居を考える側としても、その選定においてしっかりとした事前調査を行い、最適な施設を選ぶための基準を持たなくてはならない時代になってきています。
施設見学の前に、優良な介護付有料老人ホームを選ぶためのチェック・ポイントを、いくつか確認しておきましょう。
まずは「入居一時金」です。
入居一時金は、0円をうたい文句にする施設から、数億円と超高級感をただよわせる施設まで、施設によって設定の幅が非常に広くなっています。
改正老人福祉法により、これから新設される有料老人ホームにおいては、運営会社が倒産しても入居金の一定額までが保証される「入居金保全措置」が義務づけられています。
また、入居契約後90日間のクーリングオフ(契約解除)も、あわせて義務づけられています。
有料老人ホームは、入居一時金と月額利用料を支払って居室及び様々なサービスを利用できる権利を得るいわゆる「利用権方式」が多いため、入居者の死亡時や退去時において入居一時金が戻って来ないというトラブルがかねてから絶えなかったことから、そのような規定が設けられました。
【平成24年(2012年)3月追記】
上述のクーリングオフ規定があるにもかかわらず、「有料老人ホームの入居一時金をめぐるトラブル」が一向に絶えなかったことからさらに老人福祉法が改正され、この「90日以内の契約解除に伴う一時金の返還(90日ルール)」が法制化されました(2012年4月1日から施行済)。
今回の法改正によって「90日ルールの内容が法的に確定」されるとともに、都道府県の改善命令および罰則(6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金)も設けられました。
(有料老人ホーム、「入居一時金」の保全措置について。 ご参照)
特に入居一時金が高額な場合、その「償却」方法がどうなっているかについても、注意しておく必要があります。
初期償却の金額割合が大きくなる「定率法」を採用しているということは、万一何かあったときに、施設側の取り分がそれだけ多いということを意味します。
これはある意味、それだけ入居者より経営優先・利益重視の運営姿勢が強いということですし、あるいは施設として資金繰り上の問題を抱えている可能性も無きにしもあらずです。
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有料老人ホーム、見学前のポイント(2)。
民間有料老人ホームの見学前に、注意したいポイント(1)。で記したとおり、有料老人ホームへの入居前には、「重要事項説明書」「入居契約書」について必ずチェックしておく必要があります。
「重要事項説明書」の記載様式・項目は「全国一律・共通」となっていますので、みるべきポイントをいったん理解してしまえば、自分で施設間の条件比較を行うことも可能になります。
それでは「重要事項説明書」における注意すべきポイントについて、以下いくつか見ていきます。
「重要事項説明書」においては、「施設概要」の項目内に「介護にかかわる職員体制」を記した箇所がありますので、「要介護者と施設職員の人員配置の比率」をそこでチェックします。
介護付の有料老人ホームなど「特定施設」の指定を受けている場合は、「要介護者3人に対して、介護・看護職員1人」が人員配置の最低ラインとなっています。
ちなみに、この「介護・看護職員1人」の1人は、週に32-40時間の労働を「1人」として換算されます(「常勤換算」と呼ばれます)。
週40時間ということは、一日8時間労働という計算ですね。
しかし、施設では一日24時間、休日や夜間においても当然ながら人手が必要ですので、3人の入居者の世話を1人でするといっても、実際に配置される人員としては全然少ないということになります。
この「3:1」という人員配置は、サービスを受ける側としてはたいへん心もとない状況であるわけです。
したがって必要なサービスを受ける体制として現実には「要介護者2人に対し1人」は必要となります。
さらに、「要介護者1.5人に対して1人」まで比率が高まっているならば、これは人員配置的には手厚いサービス体制が敷かれている施設、とみてよいでしょう。
同じく、「サービスの内容」という項目内に記載されている「入居率」については、数値として「80%以上」は欲しいところです。
開設から数年経過しているにもかかわらず、入居率が8割をきっているような施設では、今後の経営の安定性についての不安がぬぐえないためです。
「前年度の退去者の人数」を確認すると同時に、「入居率」をチェックしておきましょう。
また、入居してみたはいいもののやはり合わないことが判明し、早々に退居…という可能性も十分あり得ますので、「契約の解除」そしていわゆる「クーリングオフ制度」についても、重要事項説明書で必ずその内容を確認しておく必要があります。
両方とも「必須の」記載事項ですので、万一これらについての記載が重要事項説明書に無いならば、その施設への入居の検討そのものを見合わせるべきでしょう。
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