有料老人ホーム、見学前のポイント(2)。


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民間有料老人ホームの見学前に、注意したいポイント(1)。で記したとおり、有料老人ホームへの入居前には、「重要事項説明書」「入居契約書」について必ずチェックしておく必要があります。


「重要事項説明書」の記載様式・項目は「全国一律・共通」となっていますので、みるべきポイントをいったん理解してしまえば、自分で施設間の条件比較を行うことも可能になります。


それでは「重要事項説明書」における注意すべきポイントについて、以下いくつか見ていきます。

「重要事項説明書」においては、「施設概要」の項目内に「介護にかかわる職員体制」を記した箇所がありますので、「要介護者と施設職員の人員配置の比率」をそこでチェックします。

介護付の有料老人ホームなど「特定施設」の指定を受けている場合は、「要介護者3人に対して、介護・看護職員1人」が人員配置の最低ラインとなっています。

ちなみに、この「介護・看護職員1人」の1人は、週に32-40時間の労働を「1人」として換算されます(「常勤換算」と呼ばれます)。


週40時間ということは、一日8時間労働という計算ですね。

しかし、施設では一日24時間、休日や夜間においても当然ながら人手が必要ですので、3人の入居者の世話を1人でするといっても、実際に配置される人員としては全然少ないということになります。

この「3:1」という人員配置は、サービスを受ける側としてはたいへん心もとない状況であるわけです。


したがって必要なサービスを受ける体制として現実には「要介護者2人に対し1人」は必要となります。

さらに、「要介護者1.5人に対して1人」まで比率が高まっているならば、これは人員配置的には手厚いサービス体制が敷かれている施設、とみてよいでしょう。


同じく、「サービスの内容」という項目内に記載されている「入居率」については、数値として「80%以上」は欲しいところです。

開設から数年経過しているにもかかわらず、入居率が8割をきっているような施設では、今後の経営の安定性についての不安がぬぐえないためです。

前年度の退去者の人数」を確認すると同時に、「入居率」をチェックしておきましょう。


また、入居してみたはいいもののやはり合わないことが判明し、早々に退居…という可能性も十分あり得ますので、「契約の解除」そしていわゆる「クーリングオフ制度」についても、重要事項説明書で必ずその内容を確認しておく必要があります。

両方とも「必須の」記載事項ですので、万一これらについての記載が重要事項説明書に無いならば、その施設への入居の検討そのものを見合わせるべきでしょう。

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特に「契約の解除」においては、退去要件がどうなってるのか、次の入居先を探すための準備として必要な「入居者への退去予告期間」が明確に記されているのか(次を探すための期間として、3ヶ月程度は欲しいところ)、そして万一病気入院があった場合に、入院が長期に及んだ場合でも施設から退去せずにいられるのか、といった諸点についてのチェックが必要です。


クーリングオフは、「契約締結日から90日以内の契約解除」による返還金にかかわる制度です。

2006年4月施行の改正老人福祉法において、定められました。

一日当たりで計算した日数分の利用料や、それまでにかかった管理費・食費は支払う必要がありますが、入居金などは全額返還してもらえるのが「クーリングオフ」です。

その制度の有無は、是が非でも確認しておくべきところです。


平成24年(2012年)3月追記

上述のクーリングオフ規定があるにもかかわらず、「有料老人ホームの入居一時金をめぐるトラブル」が一向に絶えなかったことを背景として老人福祉法が再度改正され、この「90日以内の契約解除に伴う一時金の返還(90日ルール)が法制化」されました。

2012年(平成24年)4月1日から施行されています。

この法改正により90日ルールの内容が法的に確定されるとともに、都道府県の改善命令および罰則(6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金も設けられました。

有料老人ホーム、「入居一時金」の保全措置について。 ご参照)


加えて、民間有料老人ホームの見学前に、注意したいポイント(1)。でも書いたとおり、「施設倒産時の、入居金の未償却分の保全措置」についても、チェックしておく必要があります。

これは、2006年4月以降に開設された有料老人ホームは、倒産時などに備えて入居金の未償却分は500万円を上限に、保険などで保全しておかなければならないと定めたものです。


特に「全国有料老人ホーム協会」の入居者基金に加入している有料老人ホームにおいては、一律500万円が保全されることになっています。

いざ倒産などの事態が発生したときに、支払った前払金がいくら戻ってくるかについて、この「保全措置」の記載欄を見て確認しておく必要があります。


ただし「クーリングオフ」も「入居金の未償却分の保全措置」も、改正法が施行された2006年4月以降新設の有料老人ホームに適用されることとなっており、既存のホームについては、義務ではなく努力目標にとどまっています。

そのためか、古くから運営している有料老人ホームの中には、クーリングオフの制度を意図的に設けていない施設もあるようなので注意が必要です。


他にもチェックポイントは多々あるため、重要事項説明書はできるだけ早い段階で入手して検討をはじめるべきですが、渡してくれる時期は有料老人ホームの方針によってもばらつきがみられるようです。

契約前日あるいは入居後にしか渡さない施設、さらにはこちら側から請求してはじめて渡してくれるような施設も、いまだにあるのが現状です。


したがって、請求してすぐ重要事項説明書を渡してくれるかどうかでその有料老人ホームの「情報公開に対する姿勢」をチェックすると共に、いくつか候補となる施設の重要事項説明書を入手して、同一項目を横断的に比較チェックしてみるとよいでしょう。

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