「ケア付の高齢者住宅」 長所と短所(1)。


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平成24年(2012年)3月追記


2011年(平成23年)10月の高齢者住まい法の改正により、「サービス付き高齢者向け住宅」が創設されました。

「サービス付き高齢者向け住宅」、利用者が知っておきたい概要。

「ケア付の高齢者住宅」という性格を持つひとつの住宅モデルが、高齢者住まい法上「サービス付き高齢者向け住宅」となった、と考えてよいかも知れません。

したがって、以下に述べる「ケア付きの高齢者住宅」が抱える短所、すなわち「要介護度が進んだときの施設側の対応と、利用者本人の心理状態の変化」は、そのまま「サービス付き高齢者向け住宅」の短所ともなり得ると言えそうです。


(追記ここまで)

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介護保険、そしてケア付の高齢者住宅について。で記したとおり、地方自治体が保険料の増大による財政圧迫を警戒していることから、本格的な有料老人ホームやグループホームの新たな建設が、全国的に制限される現状が続いています。

そのような背景もあり、比較的自立度の高い高齢者が、必要に応じて訪問介護サービスを選択して受けられるケアハウスや賃貸マンション、いわゆる「ケア付きの高齢者住宅」の新設が、全国的に増えてきています。


「ケア付きの高齢者住宅」は、介護保険施設への入所が長い年月を要する現状に加え、従来の住み慣れた自宅では在宅医療や在宅介護が難しい場合もあるということで、いわば「施設介護に準じた在宅介護サービス」の提供を、プライバシーの尊重や孤立感の防止も重視しながら行える施設として、発展してきています。

このようなケア付高齢者住宅増加の流れは、今後も全国的に進むものとみられていますが、メリットばかりというわけでもない点は注意が必要です。


まず、これらのケア付の高齢者住宅は、基本的には自立した高齢者や要支援・軽度の要介護者を想定していますが、彼らがいずれ重度の要介護度に移行する可能性が、常に高いまま存在していることです。

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入居後数年経って介護のニーズや対応回数がだんだんと増えていった時に、 近くに訪問介護サービスの事業所があるからといって、必要な時間帯に間違いなく、中身を伴ったサービスをいつも受けられるかといった心配が、必ず出てくることになります。


なぜなら、いざというときに頼りたいそれらのデイサービスや訪問介護、ショートステイなどのサービスはすべて、1ヶ月以上前にケアマネジャーが作成したケアプランにもとづいて「予定」され、各事業所に「予約」として固定されている「プラン」であるからです。

言い換えると、デイサービス事業者は「予約」に基づき、決められた時間帯にサービスを行う準備をあらかじめしているからこそサービスが行えるわけです。

予約もなしで夜中に、介護スタッフの訪問を緊急要請されても動きがとれず、リクエストに応じられないわけです。


平成24年(2012年)3月追記

改正介護保険法の施行により、平成24年(2012年)4月から「定期巡回・随時対応サービス」(「24時間地域巡回型訪問サービス」が「地域密着型サービス」に追加されたため、この問題は解決に向かう余地が出てきました。

平成24年(2012年)の介護保険改正(1)~定期巡回・随時対応サービス

ただし採算性の観点から、地域の事業者が新サービスに参入しないリスクが指摘されています。

2012年(平成24年)施行の改正介護保険法、施設介護に関わる問題点。


同じマンションの1階部分にデイサービス事業所があるような場合には、それでも問題はかなり軽減されるのでしょうが、特に移動距離の長い地方において、遠くにある施設からの訪問介護サービスを期待する場合、本当に必要な日時にきめ細かなサービスを期待できるのか、また突発的な事態が起きたときなどにもきちんと対応してくれるのか、といった不安がどうしても残ります。

この点で、常駐型で24時間即応する体制を曲がりなりにも確保している「介護付有料老人ホーム」のほうが、サービスを依頼する側、そしてなにより受ける利用者の側にとっての安心感がずっと大きいであろうことは、容易に想像がつきます。


自立度の高い高齢者にとって、「ケア付の高齢者住宅」のほうが本人の自立性と生活意欲を前提に設計されているぶん、入居において快適なケースも多そうです。


しかしながら、要介護度が進んだとき事態がどう変化していくのかといったことも将来の問題として考え合わせ、介護保険が使えるサービスかどうかといった点も含め、「時間軸」を考慮要素に入れて施設をチェックしていくこともまた大切でしょう。


次のコラムでは、この問題を発展的に解決すると期待されている「小規模多機能型居宅介護」を高齢者住宅に組み合わせた「ケア付高齢者住宅」について、ご説明します。

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