「ケア付の高齢者住宅」、その長所と短所(1)。
前コラム介護保険、そしてケア付の高齢者住宅について。で書いたとおり、
地方自治体が保険料の増大による財政圧迫を警戒していることから、本格的な有料老人ホームや
グループホームの新たな建設が、全国的に制限される現状が続いています。
そのような背景もあって、比較的自立度の高い高齢者が、必要に応じて訪問介護サービスを選択した
うえで受けられるケアハウスや賃貸マンション、いわゆる「ケア付きの高齢者住宅」の新設が、全国的に増えてきています。
「ケア付きの高齢者住宅」は、介護保険施設への入所が長期間を要する現状もあり、加えて従来の住み慣れた自宅では在宅医療や在宅介護が難しい場合もあるということで、いわば「施設介護に
準じた、在宅介護サービス」の提供を、プライバシーや共同生活により孤立感を防ぐといった点も
重視しながら行える施設として、発展してきています。
このような「ケア付の高齢者住宅」が増加する流れは、今後も全国的に進むものとみられていますが、
メリットばかりというわけでもない点は、注意が必要です。
まず、これらの「ケア付の高齢者住宅」は、基本的には自立した高齢者や要支援・軽度の要介護者を
想定していますが、彼らがいずれ重度の要介護度に移行する可能性が、つねに高いまま、存在して
いることです。
入居後数年たって、介護のニーズや対応回数がだんだんと増えていったときに、 近くに訪問介護
サービスの事業所があるからといって、必要な時間帯に間違いなく、中身を伴ったサービスをいつも
受けられるのか、 といった心配が、必ず出てくることになります。
なぜならば、いざというときに頼りにしたいそれらのデイサービスや訪問介護、ショートステイなどのサービスはすべて、1ヶ月以上前にケアマネジャーが作成したケアプランにもとづいて「予定」され、
各事業所に「予約」として固定されている「プラン」であるからです。
逆に言うと、デイサービス事業者は「予約」にもとづいて、その事業所で決められた時間帯に行う準備をあらかじめしているからこそ、サービスをすることができるわけです。
予約もなしで夜中に、介護スタッフの訪問を緊急要請されても動きがとれず、リクエストに応じられないわけです。
同じマンションの1階部分にデイサービス事業所があるような場合には、それでもかなり問題が軽減されるのでしょうが、多少なりとも距離がある施設からの訪問介護サービスを期待する場合には、本当に
必要な日時にきめ細かなサービスを期待できるのか、また突発的な事態が起きたときなどにもきちんと
対応してくれるのか、といった不安が、どうしても残ります。
この点で、常駐型で24時間即応する体制を曲がりなりにも確保している「介護付有料老人ホーム」のほうが、サービスを依頼する側、そしてなにより受ける利用者の側にとっての安心感がずっと大きいで
あろうことは、容易に想像がつきます。
自立度の高い高齢者にとっては、「ケア付の高齢者住宅」のほうが、本人の自立性と生活意欲を前提に設計されている分、入居時において快適であるケースも多そうです。
しかしながら、要介護度が進んだときに事態がどう変化してくるのか、ということも将来の問題として
考え合わせ、介護保険が使えるサービスかどうかといった点も含めて、「時間軸」を考慮要素に
入れて施設をチェックしていくことも、大切でしょう。
次のコラムでは、この問題を発展的に解決すると期待されている「小規模多機能型居宅介護」を
高齢者住宅に組み合わせた、「ケア付の高齢者住宅」について、ご説明します。
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