「ケア付の高齢者住宅」 長所と短所(2)。


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最近では、1階部分に「小規模多機能型居宅介護」の施設、2階部分以上はグループホームや高齢者入居のための賃貸部分を設けるなどした「ケア付の高齢者住宅」が増えてきています。

また高齢者住宅と同一敷地内に、「小規模多機能型居宅介護」の施設を設けるケースもあります。


このように「小規模多機能型居宅介護」をかつての高専賃やグループホームに組み合わせる「ケア付の高齢者住宅」のメリットは、どこにあるのでしょうか。

「小規模多機能型居宅介護」サービスは、2006年4月施行の改正介護保険法において、新たに介護保険のサービスメニューに加わりました。

これは市町村が事業者指定を行い、原則その市町村の住民(被保険者)のみが介護保険の給付対象となる「地域密着型サービス」のひとつとしてスタートしたものです。


「通い」(デイサービス)を中心に据え、ホームヘルパーの「訪問(訪問介護)」と「宿泊(ショートステイ)」を組み合わせながら、要支援・要介護の高齢者が住み慣れた地域で安心して生活できるよう、24時間365日体制で在宅での日常生活を支援するというのがその内容です。


介護保険が利用でき、利用者はサービス費用の1割負担で済むのですが、なんといっても利用者にとっての一番のメリットは、月単位での「定額制」となっているため、サービスを回数・時間帯の制限がなく使える点にあります。


「ケア付の高齢者住宅」、その長所と短所(1)。でも述べたとおり、訪問介護などの「居宅サービス」は、通常1ヶ月くらい前にケアマネジャーにケアプランを作成してもらい、上限となる金額の範囲内で利用せねばならず、しかもサービスの利用日時が固定されています。

それに対して、この「(介護予防)小規模多機能型居宅介護」においては、24時間365日切れ目無く柔軟にサービスを利用できる余地があるわけです。

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ただし、いくつか制限もあります。

介護保険で利用できるサービスは、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、福祉用具貸与に限定されています。

そして登録利用者は、他の在宅サービスを利用することができません。

加えて、介護保険が利用できる場合は、1事業所の登録定員は25名が上限、「通い」の1日あたりの利用定員は15名上限、「宿泊」の利用者は9名上限となっています。


仮に、一事業所を定員一杯の25名で運営するとすると、施設に配置するスタッフ数も5人以上必要となることから、施設自体のスペースも小規模とはいうものの結構な広さが求められることになります。


そのため、従来からある小所帯の「グループリビング(グループハウス)」は規模的に対応できないとして、最初からこの「(介護予防)小規模多機能型居宅介護」を利用していないところもあります。


しかし見方を変えれば、これらの制限をクリアできる一定の規模をもった介護施設、すなわち規模が比較的大きい「グループハウス」や「(住宅型)有料老人ホーム」などが「(介護予防)小規模多機能型居宅介護」サービス機能を併設するならば、利用者にとって非常に使い勝手がよくなることになるわけです。

そして実際、全国で徐々にそのような施設が増えてくる流れにあります。



平成24年(2012年)3月追記

2011年(平成23年)10月の高齢者住まい法の改正による「サービス付き高齢者向け住宅」の登場は、供給者に対する行政の補助金制度を通じた建設の後押し等もあり、その流れを加速させています。

「サービス付き高齢者向け住宅」、利用者が知っておきたい概要。



利用者が介護保険の恩恵を受けながら、24時間365日体制で途切れないケアを受けることができる、この(介護予防)小規模多機能型居宅介護を高齢者住宅に組み合わせた「ケア付の高齢者住宅」、そして新しく登場した「サービス付き高齢者向け住宅」の普及が、利用者の介護ニーズに柔軟に応えられるこれからのケアとして、期待されています。

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