「グループリビング(グループハウス)」とは。
高齢者向け共同住宅の、メリットと問題点。でも簡単に触れましたが、ここではその中核であり今後の発展も期待できる「グループリビング(グループハウス)」について、ご説明します。
「グループリビング」は、比較的元気な高齢者が、調理・そうじ・食事などの行為を共にしながら、仲間とともに一つ屋根の下で自発的に助け合って生活するという、住み方・暮らし方のことです。
そしてそのような住み方・暮らし方をしている人達が暮らす住宅施設が「グループハウス」と呼ばれています。
「グループホーム」はよく似た言葉ですが、こちらは要介護認定を受けている認知症の高齢者が入居する施設(定員9名以下の小規模施設)であり、「認知症対応型共同生活介護」として、介護保険の給付があります。
比較的健康な高齢者が主体の、必ずしも介護を伴わない共同生活である「グループリビング(グループハウス)」と区別されるところです。
厚生労働省が、現在のグループリビング(グループハウス)のような「全く知らない人たちが集まって暮らす生活スタイル」の研究を続けていたことから、介護保険制度の発足時において「高齢者共同生活支援事業」をスタートしました。
しかし助成対象として、「5人から9人」の「おおむね60歳以上の高齢者で、同一家屋内で食事等、お互いに生活を共同化できるもの」と、一定の指定条件を課したことから、その指定条件を満たせぬ施設も多く、傾向としては助成金を受けずに独自に活動するグループリビング(グループハウス)のほうが多いようです。
広めの中古住宅や賃貸アパートなどを改装し、入居者は個室で生活しながら、食堂・ダイニング・風呂などの共同スペースで、生活の一部を共同化します。
共同生活のための比較的ゆるやかなルールをつくり、食事時などを除いて個人で一人一人ができるだけ自立した生活を送るのが、グループリビングのイメージです。
そして医療や介護サービスが必要になった場合は、提携先の病院や居宅介護支援事業所から、自分で医療やサービスを選んで利用します。
なんといっても「グループリビング(グループハウス)」のメリットは、入居者一人一人の自立した生活を、施設側が大切に扱ってくれることでしょう。
特養など施設側が決めた生活スケジュールに制約される介護保険施設に比べ、自由・自立を重んじたライフスタイルが「グループリビング(グループハウス)」の非常に大きな魅力となっています。
(中古物件改装型の高齢者住宅、増加の背景と現状。も、あわせてご参照ください。)
ただし良いことずくめというわけでもなく、以下のような問題点が指摘されています。
グループハウス単体での運営は経営側としてなかなか採算がとりにくいと言われており、介護保険適用のある「グループホーム」を併設し、なんとか採算をとっている事業者もいる現状です。
全国のグループハウス数は、無届けの施設も多いため正確な施設数はわかっていないようですが、設立が比較的容易なこともあり増加傾向にあるようです。
一方で「グループホーム」数が2013年現在ですでに1万ヶ所、利用者数にして14万人を優に超えているとされることから、グループハウスはこれよりもかなり多い可能性が高そうです。
また地域差も大きく、グループハウスはとりわけ北海道での増加率が高いとされます。
全体として見ると、当初予定していたほど利用者・入居者が集まらなかったり、入居者とスタッフのバランスをとって経営を続けるのが大変だったりで、厳しい運営を迫られるケースがいまだ多いようです。
無届けのグループハウスが多いという法的な問題を抱える一方、高齢者の自立をライフスタイルとして重視する「グループリビング(グループハウス)」は利用者にとって魅力的なことも事実で、今後の質的充実が期待されるところでもあります。
経営の多角化などによる財政面を含めた運営の安定化が、今後のグループリビング(グループハウス)発展の課題といえるでしょう。
すべての記事(記事一覧)は⇒ こちらから