サ高住の「住所地特例」とは。


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2015年(平成27年)4月より、サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)に関わる「住所地特例の対象範囲の見直し」が行われました。


そもそも介護保険制度において被保険者は、自分の住所地がある市区町村の介護保険サービスを利用します。

しかし「住所地特例の対象施設」に転居入所し、その施設(のある住所)に自分の住所を移した場合、例外として「施設入所前の住所地の市区町村」が、実施する介護保険の被保険者になります。これが「住所地特例」と言われるものです。

このような制度が設けられた背景の一端に、2013年頃から都市部の高齢者が地方の介護施設に引っ越すケースなどが目立ち始めたことがあります。

このようなケースでは、移転先の市区町村に負担(市区町村が9割を負担する、介護給付費)が生じることになり、今後その市区町村が地域内の介護施設の整備を進めようとするほど、財政負担も過大になってしまいます。

下手をすれば将来的に、その市区町村の介護保険料の上昇を招きかねません。

このような状態を放置していては国全体としても、介護サービスの需給が大きく歪みかねません。これを緩和する目的で設けられたルールが、この「住所地特例」です。

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しかしこれまでは、住所地特例の対象施設は、「介護保険3施設」「特定施設」「養護老人ホーム」に限定されており、賃貸借が主流のサ高住は、この住所地特例の対象になっていませんでした。

サ高住の9割以上が特定施設の指定を受けていない状況ですが、サ高住の増加が急速に進む中で、これを改正したものです。


具体的には、「有料老人ホームに該当するサービス(介護や食事の提供・洗濯や掃除などの家事・健康管理)を提供するサービス付き高齢者向け住宅」を特定施設として、新たにこの住所地特例の対象とすることとしました。

ただし「入居定員が29名以下のサ高住」は、住所地特例の対象外となっています。

また「安否確認サービス」「生活相談サービス」のみ、すなわち「必須サービスのみを提供するサ高住」も、引き続き住所地特例の対象外となります。


またこれまで「住所地特例」の対象者は、施設への入所前に住んでいた地域の市町村が「保険者」であることから、転居先の施設の市町村が提供する「地域密着型サービス」や「地域支援事業」を利用できませんでした。

しかし同じく2015年4月から、「住所地特例」の対象者も、転居後に入所した介護施設のある市町村が提供する「地域密着型サービス」や「地域支援事業」を利用できるようになりました。

入所施設のある市町村の「地域密着型サービス」や「地域支援事業」を使えるほうが、利用者にとって当然に望ましいことですね。


また2015年(平成27年)の介護保険法の改正により、(3年間の経過措置終了後の)2018年度からは、介護保険の要支援者向け「介護予防訪問介護」「介護予防通所介護」が、完全に市町村の「地域支援事業(新しい総合事業)」に移行することになります。

その実施以前に制度的な整合性をとることによって、国の進める「地域包括ケア」の理念に沿うようにしておく必要もあったと思われます。

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