サ高住の入居時期と住み替え。


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要介護が重くなった後では入居しにくいイメージがある「サービス付き高齢者向け住宅サ高住)」。

しかし高齢者住宅財団の調査によると、入居者全体の54.6%が要支援者と要介護度1~2、そして全体の28.3%が要介護度3~5(平均の要介護度は1.8)とのことです。

「自立」入居者は全体のわずか12.8%に過ぎず、サ高住に「終の棲み家」としての役割が期待されているのも、また現実のようです。

サービス付き高齢者向け住宅等の実態に関する調査研究【PDF】(高齢者住宅財団)


実際に介護が必要になってはじめて、入居が難しく施設数が不足しがちな特養等のいわば代替的選択として、サ高住に入居してくる人も多いのが実情です。

入居から「看取り(みとり)」までを一貫して行なうことを、自ら積極的にアピールするサ高住も増えてきています。

現状、要介護度が高めの方が入居してくれるほうが、サ高住側も経営上の採算が取りやすい側面があるため(特定施設のサ高住~介護付有料老人ホームとの違い ご参照)、その意味では施設側と入居者側双方の思惑がある程度一致しているとも言えます。


人は新しい環境や人間関係に慣れるまでそれなりに時間がかかるものですが、ほとんど人の手を借りず自立した生活を送っている高齢者にとっては、あまり早いタイミングで高齢者住宅や老人ホームに入居するのも考えものかもしれません。

たとえば積雪量が多い地方で、本人の健康状態に問題は無いものの、冬に自宅前の除雪を日々行なうことが負担になってきたために早々に自宅を処分して、サ高住や老人ホーム等に入居を決めてしまうケースが少なくありません。

最初の入居がうまくいけばそれでも良いのですが、失敗して住み替えを考えるとなれば、次の入居候補先が空くまでの待機期間が発生するかもしれません。

最初の施設入居時に自宅をあわてて処分してしまうと、万一のトラブルの際の一時避難先となる場所がなく、困ったことにもなりかねません。


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都心部で暮らす子供夫婦が、親と同居できるほどに自宅が広くないため、地方に暮らす親を呼び寄せ自宅近くの高齢者住宅に入居させるケースもあります。

このような場合、本人は新しい環境のもと家族以外の人間関係をゼロからスタートさせることになるため、それを心理的・性格的に受け入れられるかどうかで、その後の人生が大きく左右されることになります。


内向的な性格だと新しい環境に馴染めず、自室に閉じこもりがちになるおそれもありますし、軽度の抑うつ症や認知症だった場合には症状が重症化する可能性も否定できません。

他の入居者との人間関係で言えば、たとえば本人が元気でも、周りの入居者は要介護度が高い人ばかりで日々の話題や趣味娯楽面が噛み合わないとか、あるいはその逆のケースもあり得ます。


これまで地元で週に1~2日程度仕事をしていたが高齢者住宅への引っ越しで辞めざるを得ず、居住環境は良くなったにも関わらず急に生きがいを失って本人がふさぎ込むケースもあります。

これまで自分で食材を買い料理を毎日のようにしていた人が、居室の簡易型キッチン(居室内の台所設備が簡易なサ高住も少なくありません)では十分に料理を楽しめなくなることに不満を覚えることも、考えられます。

自宅でガーデニングや盆栽を趣味にしていた男性が、規約で居室のベランダにおける花や植物の栽培を禁止されて、それがストレスに転化した事例もあります。


高齢者住宅の供給スピードはしばらく衰える気配がなさそうですし(サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)制度、開始後の現状と対策。 ご参照)、事業者間の競争がさらに進むことによって、今後は利用者側の細分化されたニーズをきめ細やかにくみ取った、いわば「オーダーメイド型」の高齢者住宅も増えてくることでしょう。

現状の「住み替え」は、要介護度が重くなったことにより施設側から退去を求められるなど、いわば本人の意向に沿わないかたちで起きるケースが主ですが、今後は入居前の想定と異なった要因から起こる本人のストレスや体調悪化によって、本人や家族の自発的な意思による住み替えもごく当たり前になってくることが予想されます。


たった1度の選択でパーフェクトな住み心地の高齢者住宅に辿り着けるという考え方にこそ、むしろ無理があります。

家族も本人も、候補先となるサ高住の設備や提供サービスなどは入居前に一生懸命調べるものですが、このようないわば「本人の性格や環境の変化から派生する懸念のある問題」については、よほど想像力たくましく先回りしなければ、なかなか読みきれないところがありますね。


事前の対策が難しい問題ではありますが、高齢者住宅を選ぶ際はその施設のハード面やソフト面のチェック以外に「入居者本人の生活の質が、そこを住まいとすることによってどう変化するのか」「本人の自立心をどう尊重するか」に思いを巡らすことも大切なこととして、心に留めておきたいものです。

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