「シニア向け分譲マンション」の購入前に。


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当サイトでは高齢者住宅を主に「入所施設」「賃貸住宅」の二方向から整理していますが、賃貸ではなく販売用のマンション、つまり高齢者向けのバリアフリー設備や、入居者からの緊急コールに24時間体制で対応可能なことなどをセールスポイントにした「シニア向け分譲マンション」の人気が高まってきています。


とりわけ関西圏におけるシニア向け分譲マンションの売れ行きが好調で、その開発・販売が進んでいるようです。

世間でよく言われる「シニア向けマンション」は、これまでは60歳の定年退職を迎えたいわゆる団塊世代、しかも自立した比較的元気な高齢者層のみをターゲットにしている感がありました。

しかし最近ではターゲットとなる高齢者層の細分化がさらに進み、緊急時のサポート体制・施設設備の充実を謳い文句にする物件が、以前より増えてきているようです。

「若い人の入居もOK」という建前の下、有料老人ホームの届出を出していないにも関わらず、食事や健康管理サービスを提供し実態として有料老人ホームに近い富裕層シニア向けの分譲マンションも、珍しくはないようです。


マンションの売れ行きが全国的に鈍化傾向が続く中、シニア向け分譲マンションの供給は好調で、増加基調が続いています。

大手デベロッパーが建設する物件の中には、差別化のためのホテル仕様を前面に出し、大浴場や専用レストラン・娯楽室などを併設する豪華な物件もあります。

シニア向け分譲マンションは、共通する要素は「高齢者に対応した設備・サービスが付加されている」ことくらいで、高齢者住宅と同様、定まった定義や満たすべき要件があるわけではありません

さほど高齢者のニーズに対する配慮をしていない、普通の分譲マンションに毛の生えた程度のサービスを付帯しただけの物件であったとしても、「シニア向けに設計しました」と宣伝して販売することも可能なわけです。


さらに通常のマンション購入同様、入居後は月額管理費や修繕積立金・固定資産税にいたるまで、きっちりかかってくることになります。

高い買い物をしたその後で、物件に期待していた「シニア向け」にかかわるサービス部分の質が「こんなはずじゃ…」となった場合は、その後に方向転換をはかるにしても、大変なエネルギーを費やすことになります。

購入前にはそのマンションのみならず、分譲会社や施行業者の安全性や評価、さらには周辺環境なども含めた十分な調査を、入居者の目線にたって行うことが大切です。

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「シニア向け分譲マンション」は有料老人ホームのように一代限りの使用権となる「利用権」方式(「民間有料老人ホームの見学前に、注意したいポイント(1)。をご参照)ではなく、物件の「所有権」が得られることは、確かにメリットです。

かりに年月がたった後入居者が亡くなられた場合においても、資産価値のある物件が相続財産として残ります

一方、マンションを買うということで、いわば「終の棲家」というイメージを持って入居する方もそれなりに多いはずです。

しかし入居時に自立していたにせよ、その後数年たって重度の要介護状態となった場合など、引き続きそこに住んでいられるかどうかについては、ケース・バイ・ケースと言わざるを得ません。


シニア向け分譲マンションに入居後、介護保険を利用する場合は、ケアハウスや自宅の場合と同様、「居宅サービス」(外部の訪問介護サービス等)を利用することになります。

要支援状態や軽度の介護には対応できても、万一重度の介護や臨機応変な対応が必要となった場合(たとえば認知症となり、徘徊(はいかい)の症状を呈しているケースなど)は、外部のデイサービス事業所などによる対応ではとても間に合わなくなってしまいます(「ケア付の高齢者住宅」、その長所と短所(1)。をご参照)。

かりにそのマンションが「24時間対応」をうたっているにせよ、入居者にとって問題となるのは、あくまでその「対応の中身・サービスの質」のはずです。

たとえば、24時間駐在する管理人やスタッフが1~2人いるということだけで、果たしていざという時に、介護付有料老人ホームのような的確な対応がとれるものでしょうか?

そのように状況が大きく悪化するケースを最初から「想定外」としているマンション販売業者にあたった場合、入居者の要介護状態が悪化した後は、その対処に相当のエネルギーをとられることになります。


サービス水準が期待を裏切るものであることが入居後に判明し、せっかく高額の購入代金を支払ったにもかかわらず、他の介護付有料老人ホームに入居し直すための資金手当てを再度する必要に迫られることなどは、現実に起きている事例です。

購入物件を転売し、その資金を充てればよい…という考え方は、危険を伴います。

物件の転売自体がうまくいくかもどうかという問題もありますし、住み替えを予定する介護施設が設定する「入居一時金等の支払期限」に照らして、新しい施設への入金・支払いのタイミングがあわないことも十分あり得るからです。


「シニア向け分譲マンション」は、高齢者の自立型の生活に適した居室設計など、入居者にとってのメリットが数多くあることも確かです。

したがって購入を考える場合、「いま思い描いている自立型の生活が、万一成り立たなくなったときに自分はどうするのか」という将来的な対応方針も踏まえて、判断されることをおすすめします。

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