サービス付き高齢者向け住宅 現状と対策。


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2011年10月に登録がスタートし、国がこれからの高齢者住宅の中核として60万戸の設置を目標として掲げる「サービス付き高齢者向け住宅サ高住)」は、すでに累計登録住戸数が23.4万戸(2018年8月末現在)に達し、全国的に相当の増加スピードで成長しています。特に、大阪・北海道・東京における着工数の増加が著しいとのことです。

サービス付き高齢者向け住宅の現状と分析(平成30年8月末時点)【PDF】

しかし「サービス付き高齢者向け住宅」を名乗れるのは、住宅構造とサービス内容において一定の登録要件を満たしたうえで、登録を完了した物件のみです。

サービス付き高齢者向け住宅、利用者が知っておきたい概要。


入居費用(食費を除く)は月額5~20万円前後と、有料老人ホームなどに比べ低廉です。

それでも入居一時金が数十~百万円単位、居住面積が広い場合は入居費用も月額数十万に達するなど、敷居が高いと感じる世帯も少なくなさそうです。

管理費や食費・サービス利用費は生きている限り支払いが続くものですから、生涯の総支払額でみたときの経済的負担が大きすぎると、入居に二の足を踏む人も多いと考えられます。


サ高住は、有料老人ホームのように地方自治体による総量規制も受けず(有料老人ホーム、現状と入居前の注意点。 ご参照)、また国からの補助金も支給されていることから、株式会社や医療法人が中心となっての全国的な拡大傾向は、今後数年右肩上がりで続くものと見込まれます。

しかし介護業界以外(異業種)からの参入の増加も見込まれ、事業者の提供する介護サービスの質もいまだ玉石混交と言われます。

調査によると、食事サービスは95%のサ高住で提供されていますが、介護サービスや調理など家事サービスの提供はまだ5割程度とのことです。


高齢者住宅の登録戸数が大きく増えた一方で、残念ながら高齢者住宅の事業者の廃業も、年々増加傾向にあります。

国の補助金をあてこんで安易に参入した事業者の撤退や、経営破綻等によるものです。

過去に入居施設が何の前触れもなく突然閉鎖され、入居者が行き場を失うなどの事件も起きていることから、家族としては日頃から入居先の経営状態についても、注意を払っておくべきでしょう。

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サ高住は外部の訪問介護事業者らと契約し、複数の在宅系介護サービスの中から自分にあった介護サービスを選んで受けるのが基本的なスタイルです。

しかし現実には、大半のサ高住が何らかの介護事業所等を併設し、自前のグループ内サービスをまず利用してもらうビジネスモデルとなっています。


たしかに各種サービスの提供事業者が異なる場合、入居者側で個別に対応しなくてはならない利用サービスが増えてくると出費がかさみ手続きも煩雑になり、長い目でみると生活の快適さの阻害要因にもなり得ます。

その一方、逆からみるとこれは別の問題につながります。介護事業所の併設するサ高住が大半であることにより、サ高住入居者に対する介護サービスの「囲い込み」が強すぎると、事業グループ内のサービスをまず選ぶように誘導され、本当に利用したい外部サービスをなかなか自由に選べないという問題がでてきます。


サ高住への入居時は高齢であっても比較的健康で、日常生活や外出面で問題ない状態であることが多く、自分の身体を動かすのもままならない状態がやがて訪れる可能性をイメージするのは、本人はもとより家族にとっても難しいものです。

要介護の状態になったとき何が必要になるか、また余生で最低限譲れないことは何か、といったある種のイメージトレーニングも、なかなか難しいことではありますが、元気なうちから試みておく練習をしておきたいものです。

希望する施設の入居者にヒアリングを試みるなど、できる範囲での事前調査を行なっておくことも、対策としてもちろん必要です。


サ高住では長期入院などを理由とした事業者からの一方的な解約は無いとされるものの、施設が急ピッチで増えているため、違反業者に対する行政のチェックが行き届かない恐れは十分にあります。

たとえば認知症になるなど要介護度が上がったときに系列の施設以外であっても、本人に必要な外部施設をきちんと紹介してくれるか等を、入居側が契約前にきちんと確認しておくことが必要です。


管理人の常駐時間や火災や防犯関連のセキュリティ設備、緊急時の外部との連絡体制など、入居施設の管理体制もチェックポイントになります。

トラブルを避けるためか、施設によっては門限や外泊の許可制を設けるところもあるようですが、賃貸住宅はあくまで自分の家ですので、施設側が入居契約上プライバシー面についてどのようなルールを設けているかなども、あらかじめきちんとチェックしておきましょう。

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