介護サービスの負担軽減措置(1)。
高齢者住宅や介護施設を一生懸命探した結果、ほぼイメージどおりの施設へ入居でき、ほっと安心したのもつかの間。
利用者とその家族は、新たな住まいで日々の暮らしをおくる中、介護に関わる出費をずっと続けて負担していかねばならない…という現実に、直面することになります。
「介護保険は1割負担でOK」というイメージは、現実に照らして少し先行しすぎの感があります。すでに介護保険法の改正により、一部の方に2割負担が導入されています。
利用者が高齢者住宅に入居後、必要に応じ在宅サービスを受けたり、あるいは介護付有料老人ホームなどにおいて施設サービスを受けていると、介護保険でカバーされない支出が予想以上の負担となることに後で気づき、がく然としている家庭が多いのが実情だからです。
介護関連の出費は、月々のオムツ代、衛生用品やデイサービスの食事代、あるいは通院時の交通費など多岐にわたっているため、さまざまな細かい費用を月末に足しこんでみると、相当の金額に達することが多いものです。
そして要介護度が重くなるにつれ、費用総額も増していくことになります。
このような「利用者が負担せざるをえない金額」を減らすためには、介護保険外の出費を細かく、そして厳しく行うことで支出金額そのものを減らしていくことが、もちろん大切です。
意外に見落としがちなのが、市町村などへの申請によって行う各種の「利用者の負担軽減措置」や「所得税・住民税の税額控除」といった、いわば”公的な恩典”です。
これらを活用することにより、家計における実質負担額を減らしていくことが可能になります。
二回にわけて、介護費用節約の味方となる制度をいくつかご紹介してまいります。
これら以外にも用意されている制度がありますので、自分のケースで利用できるかを、市町村の介護担当窓口や税金相談コーナーなどで尋ねてみることをおすすめします。
まずは、なんといっても「高額介護サービス費」の制度です。
これは、介護保険による在宅・施設サービスの利用者側の1割負担が、その世帯の合算額ベースで、段階に応じて定められた「限度額」を超えた場合には、申請することにより「高額介護サービス費」としてその超えた分が戻ってくるというものです。
(なお「高額介護サービス費」については姉妹サイト記事「介護施設・介護サービス、利用時の負担軽減策を知っておく。」をあわせてご参照ください。)
ただし夫婦で介護サービスを利用している場合は、その世帯の合算額で見ることになります。
なお施設サービスの食費、居住費(滞在費)および日用品費、福祉用具購入費、住宅改修費は、高額介護サービス費の対象となりません。
当然ながら、利用したサービスすべてが高額介護サービス費の対象とならないことに注意しておく必要があります。
ちなみにこの世帯ごとの「限度額」ですが、2013年1月現在、一般世帯の場合は月37,200円、住民税非課税世帯は月24,600円(合計所得金額等が80万円以下・老齢福祉年金受給者の場合は月15,000円)、生活保護受給者は月15,000円となっています。
高額介護サービスの対象となるサービスを利用した場合、後に市町村から手続きの通知が送られてくるはずですが、中には送られてこない自治体もあるようですので、その手続方法については、市町村の介護保険課など、担当窓口に問い合わせるのがよいでしょう。
また請求には2年の時効があり、その後は申請ができなくなってしまいますので、注意が必要です。
次のコラム、介護サービス、様々な利用者の負担軽減措置を活用したい(2)。において、さらに他の制度の紹介を続けます。
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