「介護付有料老人ホーム」、将来懸念される問題とリスク(1)。
介護付有料老人ホーム・高齢者住宅等、民間の介護施設への入居を考えるという問題に直面した
とき、入居者に少しでも適した施設を探すことに力を使い果たしてしまい、先々に懸念されそうな問題に対しての目配りがついおろそかになってしまいがちなものです。
ここでは、現在の介護業界と、介護付老人ホーム・高齢者住宅等をとりまく問題として指摘されている諸点について、ご説明します。
介護保険の導入によって、その給付対象となる「特定施設入所者生活介護」である(介護付)有料老人ホームやケアハウス・高専賃などの絶対数は、介護保険の利用者数と共にこれまで大きく増加してきており、利用者側にとって介護施設の選択と間口が広がったことは、確かに大きなメリットであったと言えるでしょう(ただし自治体による特定施設の「総量規制」のため、今後の新設のペースは鈍化するであろうと指摘されています)。
しかしながら、それら介護施設の大多数は、あくまで「営利を目的として」行われる企業経営である
ことを、忘れてはなりません。
そして、それらの施設への入居は、あくまで施設経営者と入居者との間でなされるいわば「自己責任」にもとづく契約です。
現時点で最良の決断を行ったとしても、何年間も利用することになるわけですから、利用料の値上げや自己負担額の増加、要介護度の重度化やスタッフの入れ替わりに伴う介護サービスの劣化といった、利用者の日々の生活の質に大きく影響してくる部分が、将来的にはどうしてもでてくることになります。
そのような状況の変化が生じたときに、すばやく最善の対応策をとれるように、日頃から事態の変化を
想定した対策を考えておくことが、必要になってきます。
また、せっかく探し出して入居したにもかかわらず、施設を運営する母体企業の倒産・経営不振等による、施設の閉鎖や契約内容の大幅な変更といった事態すら、経営環境が厳しく過当競争ぎみの
現在の介護施設業界においては、十分に起こりうるリスクととらえておくほうがよいでしょう。
(参考記事 福祉・介護事業の倒産、(2007年)9月までに29件〔医療・介護情報CBニュース 2007年10月24日付記事〕)
そして、それらのリスクが現実のものとなるか否かについては、介護施設を運営する企業の「これまでの介護事業への関わり方」「介護事業に対する理念」「経営方針」「今後の事業戦略」等の、
いわば目に見えないポイントの優劣に左右されてくる面が大きくなります。
利用者サイドの自衛策としては、上述のポイント、すなわち施設を運営する企業の経営状況や将来性などについても、報道チェックや資料請求などによって可能な限り情報収集を行い、介護関連法の改正や介護業界の今後の動向に目を配りつつ、リスクを最小限におさえるよう自分なりに工夫する
以外にはなさそうです。
すなわち、単に「よく広告を見かけるから」「大手だから安心」といった表面的な部分だけで動かされることなく、「介護施設を運営する企業としての将来性・安全性」「入居者の満足度からみた施設の
サービスの質と価格の適切さ」の両方をにらみながら、冷静な検討を行うことが必要でしょう。
はやい話、その介護施設のサービスや価格がパーフェクトに満足できるものであったとしても、母体企業や運営会社の経営力が弱いと倒産してしまったり、または運営主体が変更され施設の方針が大きく変わってしまう可能性もあります。
また逆に、介護施設の運営は順調であったとしても、母体企業が業績の拡大に貪欲すぎそのしわ寄せが利用者にいってしまって、サービスの品質が損なわれたり、施設の利用料が大幅に値上げになったりしても、困るわけです。
これらの点について、利用者本人がチェックし、的確な状況判断ができるケースなどは、むしろ極めて稀でしょう。
やはり、周囲の家族らがそれとなく注意をし、機会をみて施設の介護長や担当ケアマネジャーともコミュニケーションをとりながら、可能な限り利用者本人の意思に沿うかたちで、サポートをはかっていく必要があるでしょう。
さて、個々の介護施設の今後の動向に大きな影響を及ぼす、介護業界・介護施設をとりまく状況は、残念ながら、厳しさが増す一方となっています。
次のコラムでは、将来の動向が懸念されているいくつかの問題についてご紹介します。
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