高齢者専用賃貸住宅、これだけ知っておく。

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高齢者専用賃貸住宅、これだけ知っておく。


高齢者向けの賃貸住宅には、高齢者の入居を拒まない「高齢者円滑入居賃貸住宅」そして「高齢者向け優良賃貸住宅」という二つの制度がこれまでありましたが、三つ目となる「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」が、2005年12月に「高齢者円滑入居賃貸住宅」の中のひとつとして、新しく誕生しました。

「高齢者円滑入居賃貸住宅」「高齢者向け優良賃貸住宅」の二つについてはこの後のコラムで説明することとし、ここでは「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」について説明します。


現在、ベビーブーム世代が高齢期(65歳)に達する2015年までに、高齢者人口が3,500万人にも達するという予測がなされています。

このような環境のもと、介護保険制度の持続性を高めて活気ある高齢化社会を築き、予防重視型システムへ移行することが必要と考えられています。

平たく言えば、「元気なお年寄りの、自立した生活に資する住宅を増やしていく」という視点が重視されているわけです。


そのような観点から2005年12月、高齢者居住安定確保法(高齢者住まい法)にもとづき、高齢者の入居を拒まない「高齢者円滑入居賃貸住宅」のうち、もっぱら高齢者を賃借人とする賃貸住宅「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」が、創設されました。

高専賃は、設備・サービスなどの情報を都道府県に登録する高齢者向け賃貸住宅であり、購入価格帯も比較的手頃なことから、最近は人気が高まってきています。

高専賃
は、高齢者の方が比較的元気なうちに、そこに住み替える場所として想定されており、万が一
介護などが必要になった場合には、すぐ外部の事業者に依頼することもできます。

反面、一般的に高専賃は、要介護度が重くなったときの対応が不十分だといわれています。

そのため、デイサービスや訪問介護など他のサービスを連携させながら、対応を工夫する高専賃も
増えてきているようです。

有料老人ホームは、介護サービス等を含む施設の利用権を購入する「終身利用権方式」が多いのですが、この高専賃は入居時に賃貸借契約を結ぶことから、借家人の権利が法律で保護されており、
万一事業者が倒産するような事態になったとしても、住み続ける権利を主張することができます(契約
ですので、もちろん途中解約も可能ですが)。

また、前払家賃や日常生活に関するサービスの有無などについて、事業者に詳細な内容の開示を義務づけていることも、特長となっています。

なお、高齢者住まい法の一部が2010年5月に改正され、同月19日から施行されました。

・改正高齢者住まい法リーフレット【PDF】(国土交通省)
・高齢者円滑入居賃貸住宅の登録制度が変わります!【PDF】(国土交通省)

改正法のポイントは、高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)および高齢者専用住宅(高専賃)について、これまで無かった以下の三つの登録基準が新たに設けられたこと、そして今後この三要件を満たさない物件は、たとえこれまで高円賃や高専賃として登録済みの物件であったとしても、登録を抹消されてしまうということです。

(1)高円賃および高専賃の面積や設備に、一定の基準が設けられたこと。

建物・設備に関わる一定基準は以下のとおりです。

・一戸あたりの床面積が原則25m以上
・各戸に原則として、台所・水洗便所・収納設備・洗面設備及び浴室を備えていること

(2)事業者が前払家賃を入居者から取る場合は、算定の内訳を書面で示すと共に、事業者の倒産などに備えて保全措置を講じること。

(3)家事など一定の支援サービスがついている場合は、住居の賃貸借契約書とは別に、サービスの内容や料金の概算額を書面で明らかにした契約を結ばなくてはならないこと。


高専賃は、その定義上高円賃に含まれることから、「高円賃と高専賃の両方とも」改正法の対象になっていることに注意しましょう。

また今回の法改正では、以下でご説明する「適合高専賃」の要件に関わる変更はありません。


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さて高専賃には、「適合型高専賃」と呼ばれるものもあります。

「適合型高専賃」とは、一言で言えば、一定基準にもとづいたゆとりある居住空間とサービスを備えた、いわばグレードアップされた高専賃のことです。

「適合型高専賃」となった場合には、有料老人ホームの届出が不要となります。

食事や介護サービスを提供すると、有料老人ホームに該当してしまい、実質的には「許可制」とも
いわれる厳しい内容の届出を県へ行った上で、様々な制約下に置かれることになります。

しかしながら、一定以上の居室数にトイレや浴室など、設備と運営において一定基準を満たした
「適合型高専賃」となった場合には、有料老人ホームの届出が不要となるため、事業運営者にとっての経営自由度が増すというメリットがあります。

さらに、「適合型高専賃」となった場合には「(介護付)有料老人ホーム」や「ケアハウス」と同様に、介護保険法上の「特定施設」としての指定を受けることもできるようになりました。


このようにメリットの多い「適合型高専賃」なのですが、現在は実質的に指定の判断権を有する地方自治体が、「特定施設」の指定をほとんど行なわない状況になっています。


そのため、「特定施設」である「適合型高専賃」の数はまだ非常に少なく、現状では、「特定施設」の指定を受けない「適合型高専賃」がその主流となっています。


2007年には医療法人による高専賃の直接経営も解禁され、今後、十分な医療・介護体制を整えた
医療法人による高専賃の運営などが、増えてくるものと見込まれています。

しかしながら、高専賃は、まだその絶対数が少なく、加えて部屋の大きさも料金体系も入居者のタイプも、千差万別となっているのが現状です。


そもそも、高齢者が一人でもいて食事・介護の提供がある場合は、自治体に有料老人ホームとして
届け出る必要があるのですが、高専賃については、居室の広さ・設備・運営などについて一定の要件を備えたならば、有料老人ホームの届出をする必要がありません。

その結果、規制逃れを目的として、意図的に自らを高専賃として、運営する施設もあるようです。

また、国土交通省の管轄となる高専賃の中には、厚生労働省による改善指導や立入り調査ができない
ことから、利用者への配慮を欠いたサービスが不十分な施設も、存在すると言われています。

したがって、「高専賃であればOK」というわけでは決してないので、入居前に重要事項説明書にも必ず目を通し、よく比較検討していくことが大切です。


なお、この高専賃については、「財団法人 高齢者住宅財団」のホームページ内「高齢者専用賃貸住宅 登録情報検索」で、全国の登録物件の状況などを調べることができます。


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